ぼったくりバー被害

信州○○之住人
凸山凹夫  
2004517日随筆

先日大阪でぼったくりバーの被害に遭い、大変な思いをしました。すっからかんになって長野県○○市に帰るため関西在住の友人にお金を借りて帰って来ました。以下は警察に届けた被害届と、その友人への礼状です。皆さんに御一読頂き、何かのお役に立てれば幸いかと存じます。なお、差し障りがあるので伏字が多々ありますが気にせず読み飛ばして下さい。


被 害 届

平成XX54
長野県○○市△△0-00-0
氏名 凸山凹夫
昭和XX YYZZ日生
職業:凸凹大学助教授

(概要)
 5月1日(土)の夜、大阪曽根崎2丁目でぼったくりバーの被害にあった。ビール3本と水割り1杯で54、000円も取られた。

(詳細)
 5月1日(土)大阪市北区曽根崎で凸凸大学工学部応用化学科○○研究室の同窓会が、1630から1900の予定で、曽根崎2丁目X-Yの「○○大厨新天地」(お初天神北口前)で開かれ、出席した。約20名の出席があり、19時に閉会した。2名を除き、その近くで幹事があらかじめ予約しておいた2次会会場へ行き、20時頃閉会。3次会はさらに4名ほどを除き、阪急かっぱ横町で21時頃まで行い、大いに語り合った後、散会となった。そこで、阪急で帰る者、新幹線で広島や東京に帰る者などと、再会を約して別れた。私は長野県在住でその時間からは帰れないので、皆と別れ一人で、先にチェックインを済ませておいたホテル(梅田○○ホテル:曽根崎2丁目X-Z)へ、阪急梅田から御堂筋沿いを歩いて向かった。しかしホテル前に来たとき、ラーメンを食べてからホテルに帰ろうと思い、ホテルの前を少しすぎて、少し御堂筋を南に行き一つ目の角を左に曲がって、もう一度お初天神北口の通りに入った。

 そのあたりでラーメン屋を探してあちこち眺めていたら、その路上で、47?8歳のなまりのある叔母さんに声をかけられた。灰色がかった薄青の、薄手の春物のコートを着ていた。日本語は完璧だが少しだけなまりがあった。それで私が「アンニョンハシムニカ」と言ったら、韓国人と悟られたことにびっくりして、自分はプサンの出身で、プサンといったり来たりしていると言った。そして「うちの店に来て」と言われた。しかし、私は「いや、私はラーメンを食べたいだけだからいい」と断った。しかし、しつこく誘うので、「ぼったくりの店じゃないの。いやだよ。」と重ねて断った。しかし、「うちはそんな店じゃないよ。ラーメンもつけて出すから1万円でどう?」となおも誘われた。ラーメン屋も見つからなくて困っていたので、1万円までならいいかと思ってついて行った。

 この通りのすぐ近く(お初天神北口から30メートルくらい)の雑居ビルを、その叔母さんとエレベーターで上り店に入った。店に入ると客が全くいない。入り口付近のソファーに、飲みつぶれたのか眼をつぶって、一人ふんぞり返るように座っている45歳くらいの男がいた。誰もこの客の相手をしていない。これはあぶない店だと直感した。一番奥のソファーに案内されて、壁を背にして座った。私の前に机があり、私から見て左手に、37?8歳で155センチくらいのぽっちゃりした女が来て座り、右手には30歳くらいで160センチくらいですらっとした女が来て座った。私の正面にはさっきの私に声をかけた47?8歳で155センチくらいの叔母さんが座った。左手の女は、黒のTシャツを着て灰色のスカートをはいていた。名前は金○子(日本名は凸本○子)と言った。なまりは全くなく、日本で育った在日ではないかと思った。しかし、さっきの叔母さんの妹だという。正面の女は、つまり、さっきの叔母さんは、この姉さんで48歳、名前は金△淑(きむ△じゃ)と名乗った。漢字で書いてくれと言ったら、それぞれ上のように書いた。私の右手の女は、横顔から見ると鷲鼻で目つきが悪く、きつい顔をしていた。白いブレザーを着て白いスカートをはいて座っていた。しかし、日本語が余り出来ず、左と正面の姉妹によると、ソウル(だったと記憶?)から来たばかりで、姉妹ではなく、友達だといった。名前は朴(パク)なにがしと言ったように思うが発音が聞き取れなかった。このように一通り紹介が終わると、あなたはどこから来たと私に、正面の叔母さんが聞いた。韓国だよ答えたら手をたたいて喜んでいた。私は、ハングルを以前習っていたことや、英語がしゃべれることなど、外国語に興味があることを話した。そしたら、叔母さんがまたしつこく私の出身を聞くので、名刺を1枚見せたら、左の女がそれを胸の中へしまってしまった。それで、ああ長野県の人かと言われた。そしてどこに泊まっているかも聞かれたので、梅田○○ホテルだと答えた。2115?2200くらいの小一時間ほどいて、小瓶ビール(銘柄、diet)3本が出た。私はその1本を飲んだだけだが、2本は左手と右手の女が飲んだ。つまみは全く何も食べなかった。

 小一時間して話しもあまりないので、出ようとすると、正面の叔母さん金△淑がすーっと奧へいなくなった。そして、左手の女、金○子に3万5千円ですと言われた。1万円だったはずだし、ラーメンも出てこなかったので、約束が違うと思い、キャッチ役の叔母さん金△淑を呼んでくれと言ったが、出てこなかった。やっぱりぼったくりの店だったんだと怖くなった。ここで名誉にかけて言うがエッチなことは何もしていない。私の職業でどこに行こうとそんなことは出来ないのだ。だから、ただ座ってビールを飲み話をしただけなので、こちらに全くやましいことはなく、ビール3本で3万5千円はひどいと思った。しかし余りしつこく言って、けんかになると奧から男が出てきそうなので、財布から3万5千円を出し、現金で払った。道頓堀や淀川に死体で浮きたくはなかったのだ。このとき、彼らは明細書も領収書も出さなかった。ぼったくりの店だから出すと足がついてやばいのだろうと思った。なお、後で判ったのだが、私が財布にVISAカードを入れているのを、この時金○子はしっかり見ていたようだ。

 私が席を立つと、左右から、2人の女つまり金○子と朴が、私の腕をガッチリと組んで、「次、行くよ。私達2人のどっちがいい?」と思わせぶりなことを言って、私の股間を金○子が触った。私はもう金がないからと言って振り切ろうとしたが、入り口付近にさっきから眼をつぶった男がいることを思い出して怖くなり、振り切れなかった。なぜ入り口に男がいたのかその時はっきり判った。もめたときに入り口をふさぐ用心棒なのだ。客ではない。そう言えば、小一時間いたが、その間この男は1曲だけ韓国語の歌をカラオケで歌っていたのに、全く店の者が一人も相手していなかった。飲みつぶれて寝ていた訳ではなかったのだ。それでおとなしく2人に両側から腕を組まれたまま、店を出てすぐ近くの別の店に連れて行かれた。この店も先の店から50?60メートルくらいしか離れていなかった。

 3人で私を真ん中にして横1列にソファーに座った。逃げられない。店長らしい50歳くらいのズボンをはいて、髪を後ろでお団子にした女が、出てきて、私の正面に座り、ウイスキーの水割りを作り、私に飲ませた。とても濃いもので、それで私をつぶしてしまおうとしているのではないかとさえ思った。そこで10分か15分してこの水割りを1杯飲んだだけで出ようとすると、1万円ですという。もう金はないよと言うと、左側で私の腕をつかんでいる金○子が、「カード、あなた持っているじゃない」という。さっき、人の財布の中見ていたんだとこの時気がついた。カードを出すと、店長の女が、そのまま持って奧に入ってしばらくしてから帰ってきた。料金書には¥19,000-となっていて、これも話が違っていてひどいと思った。料金書には店の住所も書いていないし、通常こちらの認めのためサインをするはずだが、それもしろと言わなかった。ただその料金の紙を渡されただけなのだ。私は、きっとカードのスキミングをされたと思い、心配になった。その上、水割り一杯で10分か15分しか店にいないのに¥19,000-はひどい。でも、この店もグルなのだろうからケンカすると危ないと思って怖くなった。しかしあまりにも納得がいかないので、また来るから名刺をくれと言ったら、店長の女は持ってきた。横にいた金○子は一瞬顔色を変えたが、店長の女は気にせず持ってきて、私に名刺を渡した。それによると店の名前と住所・電話番号は次の通りだった。

「ラウンジ ○○」
  〒530-xxxx大阪市北区曽根崎2丁目XX
梅田○○ビル
5
Tel. (06)6xxx-xxxx

もうスッカラカンになったので、左右に座っていた金○子と朴(パク)は、私を両側から腕を組んで、梅田○○ホテルの前まで送ってきた。そこで私を解放した。部屋に着いたのは午後1045分から11時の間だった。ラーメンを一杯食べたいだけだったのに、警戒していたはずのぼったくりバーにつかまり、わずか1時間半から2時間のあいだに、現金35000円とカードで19000円の合計54000円も払わされてしまった。私には在日朝鮮人や在日韓国人の友人が数人いるが皆いい人なので、このぼったくりバーで韓国人のイメージが甚だしくダウンしてしまった。

 次の日の52日(日)朝起きて、もう一つの小銭入れに忍ばせておりた1万円を使って、京都北区の友人のK君宅に行き、相談した。この1万円がなかったら路頭に迷うところだった。K君と相談した結果、取り急ぎ、VISAカードに電話して、この私のカードを停止してもらうことにした。しかし、連休で休みではないかと言うことになった。それで連休明けということにして、夕食を、K君の行きつけの京都市北区白梅町の大将に行って、とっていると、K君が、昨日大阪の「お初天神」近くで私がぼったくりバーの被害にあったことを、おもしろおかしく話題にした。それを聞いていた大将のマスターが、「私も以前カードで被害にあったんですわ。お客さん(私のこと)、それ韓国マフィアですよ。その店では明細も出さず、目の前でカードを処理せず裏に持って行ったんでっしゃろ。それは怖いですよ。スキミングされていますよ。お客さん自分のサインもしてないでしょう。サインのないもんに¥19000払う必要なんか無いですよ。もし電話が来たら私警察に行きますと言えば、そんな奴ら警察の方が怖いから、¥19000で取りに来たりしませんよ。安心しなはれ。カードは24時間受付があるから、今すぐ電話して、明細を聞いて、止めてもらいなはれ。」と勧めてくれた。しかし、カードを止めると○○市まで帰る電車賃がないので、K君に2万円借りることを了承してもらってから、K君の携帯で電話をかけた。午後9時頃であった。VISAカードの人が、私の本人確認をしてから、昨日の51日に処理されている明細を、読み上げてくれた。○○市から大阪までの電車代、梅田○○ホテルの料金までで、午後10時頃のキャッチバーの¥19000はまだ処理されていないとのことであった。仕返しが怖くて少し躊躇して、「¥19000を払った方が、後腐れがないでしょうか?」と私が言ったら、VISAカードの人は、「お客様次第ですが、こちらではサインのあるものを登録のサインと照合して処理しますので、サインのないものは受け付けません。」と言ってくれた。それで決心して止めてもらった。VISAカードの人は、「お止めしますので以後この番号のカードは使えません。今すぐカードをはさみで切って使えなくして下さい。そして、被害届を必ず警察に届けて下さい。」と言ったので、私は「長野県の○○市に帰りましたらすぐ警察に被害届を出します。」と答えて電話を切った。その晩はK君のお宅に泊めてもらった。
 53日(月)朝、K君に2万円を借りてそのお金で、○○市まで帰ってきた。
                                                                                                                 (以上)


(お金を借りたK君への手紙)

前略、
 此の度は大変お世話になり有難う御座居ました。全く大変な御迷惑をおかけしまして、済みませんでした。今度○○市に来られて時に必ず償いたいと思います。
 53日貴君に借りました2万円を早急にお支払いしたいと思いますので、振込先を教えて頂ければ幸いです。

  銀行名:
  名義:
  普通預金か当座預金かの区分:
  口座番号:

 お陰で長野に帰ることが出来ました。帰ってから深夜迄かかって、「被害届」を書いて、つぎの朝、○○市警察署にもって行きました。しかし、担当者は、この届けをなかなか受け取ってくれませんでした。
1. 大阪曽根崎署に出せ。大阪のことは大阪で出せ。
  「あの状況で金もなく動きようがありません。お金を友人に借りてやっとの思いで帰って来ました。」と答えました。
2. この形式では被害届にならない。形式があってそれに則って書かないといけないので、・・(書き直さないといけないので、こちらは面倒だ・・という顔でした)。
3. この内容ではどこにも犯罪はないので、何の罪で被害届を出すのか?
 「一般市民は、そんなに法律に詳しくないのでそんなことはわかりません。」
 「名刺を渡したことや、ひょっとして2つ目の店の19000円をVISAカードで支払う前に止めたので、恐喝されるかもしれません。そういう不安があります。」
 しかしながら、
 「市民を不安にするという罪はない。」
と言われました。
 「しかし、桶川の事件とかで警察が何もしなかったので、事件が起きたではないですか。事件が起こってから動いてもらっても、一般市民としては、困るので、○○市でもこの届け、家族とか私に何かあったときには、○○市警察署が、一応承知してくれているという、安心があるので受け取って下さい。」と言いました。
 このようなやり取りの末、大阪の曽根崎署にも私から同じ被害届を送るということで、何とか○○市署でも受け取ってもらいました。どうも一般市民の感覚と警察の感覚は大きくずれているようです。警察は人が死んだり、殴られてけがしたり、とかという実際に犯罪が起きてからでないと動かないということらしいです。私は怖くて何も反抗しなかったので、殴られたりしませんでしたが、警察の人に訴えるにはどうしても私は殴られてけがをしてないといけないということらしいです。そんなバカな!?未然に犯罪を防止するという観点はないのでしょうか。警察が頼りにならなくて悔しいです。
 まあ、ぼったくバーに引っ掛からないことですね。自分としては久々の都会で警戒していたのに引っ掛かってしまい、田舎ぼけしていたのでしょうね。
                                 草々

                                                 凸凹大学
                                                 凸山凹夫


 皆さん、上のことどう思われますか?ぼったくりバーなんぞに引っ掛かるのは、やはり私にも油断があったので、何割かは、今、はやりの「自己責任」ですが・・・。それにしても、警察の対応は一般市民から見ると理解できかねるし、税金を払っている市民を守るという観点がないようで、とても悔しいですね。




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