今の若者の給料を2倍に上げて少子高齢化を解消しよう!

2017年1113日 随筆
2019年1月7日加筆
信州上田之住人 太田和親

F先生の日本の給与に関する議論に参加します。

私は、大学で足掛け9年間、就職担当委員をやっております。丁度リーマンショックの後の9年間です。最近5年間は学部の就職委員長も併せてやっています。

最近の若者は、65歳の私どもが若者の時に比べて、ずっと貧乏です。大体給料が低く、大卒の初任給がこの20年全く上がっていません。統計を見ればすぐわかりますが、昭和47(1972)から平成4(1992)までの20年間に大卒の初任給は10万円から20万円に、2倍になりました。しかし、バブルが崩壊した平成4(1992)から平成24(2012)までの20年間では、大卒の初任給は、ずっと20万円で全く上がっていません。

しかし、大学の学費は、この40年間に15から50倍にも値上がりしています。国立大学では年間12千円だったのが現在年間56万円、私立大学理系では10万円だったのが、150万円以上になっています。ところが、この20年間、大卒の初任給は上がっておらずずっと20万円前後で一定です。皆さん、60歳以上の人は、自分の若い時としか思い浮かばないので、現在の若者の置かれた経済的な困窮に思いがいたりません。

40年前の国立大学の学生は、夏休みと春休みにアルバイトすれば学費も生活費も、親に頼らず自活できましたが、現在は不可能です。奨学金に頼ることになりますが、この奨学金という名前がいかがわしく、本当は、ローンなのです。昔は育英会と言いましたが、現在は学生支援機構といいます。昔々の育英会は給付型でしたが、現在の学生支援機構は金利を伴うローン型です。世界中で奨学金といえば給付型ですが、日本は実は奨学金とは名ばかりで、実質金利付きの学資ローンにほかなりません。そのため、学生は、親の給料が上がらないので奨学金とアルバイトに追われることになります。そして、就職したらすぐに、このローンの返済に追われることになります。しかしながら、今の若者の初任給も低く、その後も給与が上がらないので、奨学金ローンが払えなくて破産する若者が出てきています。

これは、学費が15倍にもなっているのに、ここ20年間給与が全く上がらない、特に若者の給与が非常に低く抑えられていることに原因があります。物価のデフレが原因ではありません。

そこで私は、大卒の初任給倍増を、経団連に求めます。今の若者の給料を2倍に上げれば少子高齢化は解消します。わたくしは嘘は申しません。昔の池田隼人さんみたいな首相が出てきて、いまこそ所得倍増計画を実施してほしいです。以下、私の少子高齢化対策を詳しく説明します。

一般に、年収が450万円を越えないと男性は結婚しないといわれています。現在全労働者の平均年収は420万円程度といわれており1,2、ほとんどの人が結婚できない年収になっています。そのため、少子高齢化になっているのです。今の若者の初任給を2倍にして40万円くらいにすれば、結婚する若者が増えて少子高齢化は、絶対に解消します。

一昨年テレビに非常に興味深い事例が報告されていました。アメリカのカルフォルニアのある企業の社長が、リーマンショックの前には一般社員に比べて5000倍も1万倍もの高額年収を取っていたのですが、リーマンショックの後、大きな給与格差の反省から、2年前にこれを改め、社長自身の給料を大幅に下げそれを分配して、全社員の給与を1.5倍から2倍に仕上げたところ、社員全体に活気があふれ、仕事の生産性が大幅に向上しました。そして、社長は、予期していなかったのですが、多くの社員が子供を作って、ベビーブームになったというのです。若者の給与を上げれば、子どもが増える例が、既にアメリカにあります。だから社長はゴーンさんみたいな高給を取ってはいけません。今の若者の給料を2倍にしたら、少子化はこの例のように必ず防げます。

今の若者の現状は次のようなものです。自分は今、たとえ結婚しても、子供を自分と同じように大学まで行かせることは金銭的に到底できない。今は大学の学費が非常に高い。そう考えると子供を作ることを躊躇します。自分が大卒なのに子供は、中卒や高卒でいいと思う親はいないからです。子供に十分教育を受けさせようと思うと、どうしても、夫婦共働きをせざるを得ず、そうなるとたとえ子供をつくっても、沢山は持てないです。また、特に女性の場合、子どもを産んで育てられる年齢は限られているので、子育て期間中は外で働かずに子育てに専念したい専業主婦願望の女性も、今の若者に聞いても、約半数はいます。そこで、今の若者の給与を2倍にしたら、これらの女性が安心してたくさんの子供を産んで育てられるようになるのです。また、息子の年収が2倍になったら、年寄りの親も自宅で扶養できるようになり、養老院も不要になります。そうすると年寄りの社会保障費も下がっていくことになるのです。今のように年寄りに手厚い福祉をするために大金を使うという考え方から、若者の年収を倍増させるために大金を使うという考え方に発想の転換や方針の転換を、ぜひ、政府も企業もしていただきたいと思います。

もう一度言います。大卒の初任給倍増を、経団連に求めます。わたくしは嘘は申しません。今の若者の給料を2倍に上げれば少子高齢化は解消します。昔の池田隼人さんみたいな首相が出てきて、いまこそ所得倍増計画を実施してほしいです。

参考

1. https://johoseiri.net/entry/2017/01/17/065242/

2. https://heikinnenshu.jp/country/japan.html



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