タタの前社長、ドイツのレストランでの話
2018年10月15日 随筆
信州上田之住人和親
タタの前社長が、数年前に日経新聞の「私の履歴書」欄に書いた、ドイツでのエピソードを思い出しました。タタと言えば、インドを代表する巨大財閥ですが、その社長が、ドイツに商談に行った時の話です。夜、空港につき、ドイツのタタ駐在員と夕食にレストランに入りました。駐在員は、社長に気を使って、こちらが食べきれないくらいのごちそうを注文してくれました。しかし、タタの社長らは長旅で疲れていて食欲がなく、半分以上の食べ残してしまいました。レジでお金を払って外に出ようとしているとき、大量の食べ残しを見た、となりのドイツ人の老女から、一行は大変叱られました、何と無駄なことをするのかと。しかし、こちらはお金を払っているからいいじゃないかと反論すると、そういう問題ではない、貴方は、世の中全体や地球環境のことを考えたことがあるのかといわれ、なるほど、自分は大金持ちになり傲慢になっていたと反省したということでした。松下産業(現パナソニック)を巨大企業に育てた創業者の松下幸之助さんが言っていました。「丁稚のときには1等列車に乗って上を見よ。社長になったら3等列車に乗って下を見よ。」と。タタの社長の話も、松下幸之助さんの話もみんな、常に広い視野を持て、自分だけ良かったら良いと考えるなという教えのような気がします。