フランスの女中部屋、納戸、お勝手口

2018年719日 随筆
信州上田之住人 太田和親

最近、「パリでの生活にオススメの「女中部屋」を知っていますか?」http://ja.myecom.net/french/blog/2014/081902/という記事を読みました。

このChambre de bonne(フランスの女中部屋)に関連して、先日習ったフランス語の教科書Mauger Blue I104ページに、面白い話が載っていました。

フランス語で男性名詞のofficeは事務所ですが、同じofficeでも女性名詞のofficeは、台所の近くにある食糧貯蔵などを目的にした小部屋のことと、教科書に書かれていました。これって、日本の伝統的な家屋にある、「納戸」のことですね。また、この女性名詞officeには、la porte de l’escalier de service(裏階段の出入口)があると、この教科書には書かれています。この出入口は御用聞きや使用人のためにあるとの脚注の説明がついていました。これって、日本の伝統的な家屋にある「お勝手口」ですね。日本人でも今の若い方には、「納戸」や「お勝手口」がピンとこないと思いますが、漫画サザエさんで、御用聞きのサブちゃんが、訪ねてくるシーンを思い浮かべてもらえばいいでしょうか。私のフランス語の先生が、30年前にパリに住んでいたころには、住み込みのbonne(女中さん)がまだいたけれども、現在は通いの家政婦さん(femme de ménage)が主流とのことです (1)。私は興味深かったので日本の古語辞典も調べたところ、「納戸」の詳しい説明があり、平安時代の使用人は、主人の家族とは一緒に食事は出来なかったので、この納戸で食事をした。その食事を「納戸飯」といったとのことです。フランスも女中さんはそこの家族とは一緒に食べられず、女中部屋で食事をしたそうです。同じですね。フランス語の名教科書Mauger Blue は約50年前に出来たので、少し古いフランスを描写していますが、私は、この104ページに出てくるl’office(f.)「納戸」とla porte de l’escalier de service「お勝手口」が、非常に興味深かったです。古今東西、同じようなものがあるのですね。

(1) https://tsumagoi-note.blog.so-net.ne.jp/2010-12-17.



>>目次に戻る