フランスじゃあ、アラビアンナイトって言わない!

2018年78日 随筆
信州上田之住人 太田和親

フランス語の教科書、Mauger Blue I99ページに挙げられた71ヶ国の国名が、男性名詞か、女性名詞かを答え、さらに、その国名の形容詞の男性形と女性形についても答える演習問題について、非常に時間がかかりましたが、ようやくやりとおしました。これらの出来上がった解答を見て、面白いことをさらに2つ発見しました。

(1) フランス語では、

Italie (イタリー:女性名詞) →   italien(イタリアン:形容詞の男性形)。

英語も、

Italy (イタリー:名詞)  →   Italian (イタリアン:形容詞) 

と名詞から形容詞への変化は、発音からはイタリアの形容詞は英仏ともイタリアンで同じ。

じゃあ、英語でArabia (名詞)  →   Arabian (形容詞))なのだから、

フランス語でも、語尾が同じItalieと同じように

Arabie (アラビー:女性名詞)   →   arabien (アラビアン:形容詞の男性形)

だろうと思ったら、さにあらず。

Arabie (アラビー:女性名詞)   →   arabe (アラブ:形容詞の男性形),  arabe (アラブ:形容詞の女性形)

になるんですね。

フランスじゃあ、アラビアンナイトって言わないんだ! と驚きでした。

同様な理由で、フランスじゃあ、ルシアンルーレットともブルガリアンヨーグルトと言わないんだというのもわかりました。

なぜなら、ロシアとブルガリアの形容詞が、英語と異なるからです。

• Russie(リュシー:女性名詞) では、 russe(リュス:形容詞の男性形)  russe(リュス:形容詞の女性形)となり、ルシアンは出て来ないし、

• Bulgalie(ビュルガリー:女性名詞) では、 bulgare(ビュルガール:形容詞の男性形)  bulgare(ビュルガール:形容詞の女性形)となるので、ブルガリアンも出て来ない

う〜ん、英語とフランス語で細かいところが違うなあと一人うなる私でした。

もうひとつ、

(2) 国名で語尾が同じ-queのつく国が3つあります。Belgique(ベルジック=ベルギー), Amerique(アメリック=アメリカ), Mexique(メキシック=メキシコ)の3つです。

驚いたことにBelgiqueAmeriqueも女性名詞なので、語尾が同じMexiqueも女性名詞と思ったら、さにあらず。

Mexiqueだけ男性名詞なんですね。不思議です。どういう規則でそうなるんですかね。

そこで、私はおかしなことを考えてしまいました。女性のアメリカは男性のメキシコと男性のカナダに囲まれているからうまくいく。隣は異性同士の方がうまくいく。もし、すぐ隣が男と男とか、女と女とか、同性同士にしておくと、世の中だいたいうまくいかない。だから、もしメキシコが女性だったら、とびきり美男子のトルドー首相が代表の男性国カナダを巡って、女性国メキシコは女性国アメリカとけんかになる。メキシックはアメリックと同じように、名前にク()がついて、女の子の名前に似ていても、昔々そのあたりを植民地にしていたフランスとスペインが話し合って、メキシコを無理やり男性名詞の国にした。それが今も続いているのだ。・・・ちょっと無理がありますが・・・、メキシコの性を巡って、こんなおかしなことを、私は一人考えて笑ってしまいました。



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