スーパー記憶術と朝のお勤め

令和元年(2019)726
信州上田之住人和親


弘法大師は、奈良の大学で、ある沙弥から、スーパー記憶術を伝授されました。それで、弘法大師は、中国に留学する前に日本にいて、すでに、中国語も、サンスクリット語も、完璧に習得しました。このスーパー記憶術、とにかく教科書のお経を声に出して100万回唱えるというものです。

私の郷里では、子どもの頃、熱心な仏教徒の家庭では、必ず、朝、食事前に、仏壇の前で、「正信偈(ショウシンゲ)」などのお経を、おばあさんやおじいさんと混じって、子供も唱えることになっていました。これを「朝のお勤め」と言っていました。また、講中と呼ばれる講が各集落にあり、月に1回、信徒が集まって、お経を唱える会がありました。父は、その先頭で、見本を唱える人に選ばれて唱えていました。こういう役割は名誉なことで、父は誇りにしていました。さて、これを振り返ってみると、「正信偈」などほとんど漢字で書かれていて、さらにところどころサンスクリット語の音が入っているので、子どもにはほとんど意味が分からないのですが、とにかく何十回、何百回と唱えていると、発音だけは出来るようになるのです。「キミョウー、ムリョー、ジュニョーライ、ナモフカシギーコー・・・」そして、発音が出来るようになった所辺りで、親戚の叔父さんが、ここはこういう意味だと教えてくれました。

最近気がついたのですが、これが、弘法大師がやっていたスーパー記憶術なのだなあと思ったのです。とにかく、日本語にない外国語の発音なんか、ちょっとやそっとで、覚えられません。最近30年ぶりに、昔かじったフランス語をもう一度勉強しているのですが、フランス語の発音は難しくて、どうしても、一朝一夕には発音できません。そこで、そうだ、弘法大師のスーパー記憶術でやればいいんじゃないか、と思いました。

それで、最近、「朝のお勤め」に、フランス語600例文と、フランス語動詞活用80語を、とにかく、録音を聴いた後にシャドーイングを、毎日やることにしました。いつ完璧に覚えられるかわかりませんが、とにかく、やってみることにしました。まだ15回くらいなので、あと999985回です。



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