仏検公式ガイドブックのまえがきについて考えること

2018年1128日 随筆
信州上田之住人 太田和親

昨日フランス語講座から借りて来た、仏検公式ガイドブック準22017年度版の「まえがき」に極めて興味深いことが書かれてあったので、紹介します。それは今年20181119日に、逮捕された日産前会長のゴーンさんにも関係しています。

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「まえがき」

グローバル化の21世紀といわれていますが、世界から孤立せずに、世界と対話し、平和で豊かな未来を切り開くためには、今こそ多くの日本人が様々な外国語をマスターしていくことが大切です。多言語・多文化の世界でお互いを尊重しながら共生を目指すことが要請される現代において、英語一辺倒の方針では限界があるのは明らかでしょう。

 その中でもフランス語は、フランスだけでなく、多数の国々や地域で話され、また、国連をはじめとする国際機関で使われている重要な公用語の一つです。(中略)

 今日、フランスの企業が次々に日本に進出してくる一方、日本の企業もフランス語圏に広く展開しています。トヨタやユニクロ、無印良品のフランス進出、日産とルノーの提携などはその典型的な例です。今や英語は当たり前とされるビジネスの世界で、さらにフランス語も使いこなせることになれば、チャンスが広がることは間違いないでしょう。(後略)

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以上のように「まえがき」にはフランス語を学ぶメリットが書かれています。この「まえがき」について、私は日本人として、いろいろ考えさせられました。今回、日産とルノーの会長を兼任していたゴーンさんが、多額の裏給与の疑惑で、日本で逮捕されました。それで、私は、来年の仏検公式ガイドブック2019年度版の「まえがき」は、どうなっているだろうか。このまえがきのまま掲載されることはないだろうと思ったのです。

素朴にグローバル化のメリットを説けば若者が付いてくるでしょうか。グローバル化の影に醜悪な大きなデメリットがあるように思われますが、いかがでしょうか。国境を越えた巨大企業が、一国家の存在意義さえ脅かすグローバル化が、本当に世界の人々を平和で幸せにするのか。イギリスのEU離脱がなぜ起こったのか。なぜ、アメリカ第一主義のトランプ政権が、アメリカに誕生したのか。貧しい国と富める国とが二分化し、貧しい国の人々が、自分の国を捨てて富める国へなだれこむ現象や、一国の中でも貧富の差が拡大していく格差社会を、グローバル化は生んでいないのか。そのことに気づいてきた人々が、グローバル化に反対するいろいろな現象が世界的に起こっているのではないか。皆さんは、どう考えられるでしょうか。

というわけで、私は、仏検公式ガイドブックの「まえがき」が、来年どうなっているのか非常に興味深く思っています。



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