信州大学の大借金を考える

2005920日
信州上田之住人和親

 皆さん、最近信州大学では、教育研究費が大幅に削減され、もはやいわゆる校費では研究室の運営は出来なくなっています。これは独立行政法人化された影響ですが、他大学の先生方に個別に聞いてみると、全国の国立大学一律ではなく、従来通りの教授一人約200万ところから、昨年より710%減のところ、教員一人約20万円の所まで、様々です。つまり独立行政法人化によって、各大学の財務体質の応じた配分額になってきたということでしょう。聞いた範囲では、我が信州大学と岐阜大学の校費配分が最低でした。どうしてこんなに各国立大学によって、大きな違いがあるのかとその原因を調べました。それは、債務償還金の大きさによることが、以下の資料からはっきりしました。つまり、借金の大きいところが、教育研究費が大幅に削減されているということがわかりました。御興味のある方は、我が信州大学の将来を考えるという意味で、以下御一読頂ければ幸いです。

 今年平成17829日に文科省から発表された「国立大学法人の平成16事業年度財務諸表の概要(説明本文)」

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/08/05090601/all.pdf

によれば、国立大学全部の

(資産)資産の総額は、全国立大学法人合計で9兆793億円

(負債)負債の総額は、2兆8千20億円

です。ものすごく大きな借金があることがわかります。そして、この大借金を返済する義務が各国立大学にあることが、この説明文からわかります。独立行政法人化したので当然ですが、この借金は国が肩代わりするのではなく各大学が自分で稼いで支払うことになっています。どこかで誰かが別会計で払ってくれるなどという甘いことはないでしょう。

 各大学が個別にどれほどの借金を抱えているのかは、この「国立大学法人の平成16事業年度財務諸表の概要(説明本文)」からは、はっきりしません。そこで、各大学のH16~H21年度の中期目標・中期計画が、以下のサイト

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/04042701.htm

で全部見れますので、

 その中で、各大学のH16~H21年度の予算案において、「総支出」に対する「長期借入金償還金」の比率%を、「借金返済の重圧度」として、主な国立大学63校に対して算出してみました。この重圧度が高いほど、借金の返済に苦しむ国立大学と言えるでしょう。

 重圧度を、先日のNHKの人気番組「その時歴史が動いた」で、二宮尊徳が天保の飢饉で苦しむ住民を餓死の危険度(飢饉度)が高いものから分類していましたので、これにならって次のように分類しました。

 借金返済の重圧度%  飢饉度  財務体質分類

  10.00             餓死   倒産状態

  8.009.99         極難   倒産寸前

  5.007.99         中難   何とかしのげる

  2.004.99         無難   良好財政

  0.001.99         極楽   健全財政

信州大学は、どこに当たると思いますか? 添付のExcellファイルの一覧表をご覧下さい。

 大変残念なことに、信州大学は、「餓死 倒産状態」に相当します。上の分類のうち「餓死」および「極難」に相当する大学では、これからますます、借金返済のため、教育研究費を削らざるを得なくなると思います。企業で言えば財務体質の大変悪い「倒産状態」あるいは「倒産寸前」の会社ということになります。

 添付の一覧表を見てわかるように「餓死 倒産状態」に相当する国立大学は5校ありますが、これは2年前に出されたwebesiteの記事からも既に予想されていました。下のwebesiteの記事をご覧下さい。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-05-23/04_04.html

 この記事のなかの別表によれば、信州大学は独立行政法人化される直前に433億円もの借金があり、国立大学の中で10番目に借金の多い大学であることがわかります。元々、旧制帝大に比べ予算規模の小さい大学なのに借金の割合が大きいのは、東京医科歯科大学、岐阜大学、信州大学であることがこの別表からすぐにわかります。このことから、もし独立行政法人化後、国立大学に借金を全て背負わせると、この3つの大学が倒産の危険が最も大きいということは、容易に予想できます。このことは、上記の各大学のH16~H21年度の中期目標・中期計画から算出した「借金返済の重圧度」からも、裏付けられます。

従って、信州大学は、これからこの大借金を返済するため、教職員一丸となって、財務体質の改革を大胆に行わなければ、本当に倒産の危機が迫ってくるものと思いますが、皆さん如何でしょうか?



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